エニックス「ドラゴンクエスト」モンスター名の由来出典推察

ドラゴンクエスト
■キースドラゴン・ダースドラゴン
ともに未詳。

よく目にする説で、容量不足による文字制限で「ク」の字をつかえなかったために、 本来「ダーク」としたかったところを「ダース」に妥協したというのがある。 しかし、「ク」が問題なくつかわれているVでもダースリカントが出てくるし、 ずっとくだって[にもダースウルフェンなんていうのがいる。 では、初出をひきずってドラクエではダークをダースとしたのかと言えばそうでもなく、 早くもUでダークアイが登場しており、 その後もダークスライムやダークドレアムのように何事もなくもちいられている。

キースもダースもそれ自体に何か意味がある、もしくは感覚的な造語 というのが今のところの自分のかんがえ。

■キメラ(メイジ─・スター─)
ギリシア神話に登場する怪獣。 ヤギやライオン、ヘビなどをごっちゃにした姿。 ペガソスに乗ったベレフォロンによって退治された。 口から火を吐く強力なモンスター、

DQ上ではシッポの切れたハゲタカといった感じ。 「スター」はキメラ界のスターという事だろうか。

そのごちゃまぜの容姿から「妄想」との意味も。日本のヌエって事だね。 まあ、この手の「××の頭に○○の体…」といった怪物は、他にも掃いて捨てるほどいるが

■ゴーレム
ユダヤの民間伝承からうまれたモンスター(golem)。魔法により生命をあたえられた人形である

■スライムベス
英語版ではDragonWarriorVIIまでずうっと「RedSlime」だったのが、 DragonQuestVIIIになって「SHE-SLIME」とかわった。 sheは「[しばしばハイフンを従えて形容詞的に]雌の」の意味なので、 メスのスライムという事になる。 ではベスは何を意味するのだろう?未詳

■ドラキー(メイジ─)・ドラキーマ
コウモリ→吸血→吸血鬼ドラキュラという連想だろう

ドラキーマはながく不明だったが、ドラクエ8のモンスターリストによってドラキー「ママ」という事が判明した。もっとも後づけだとは思うが

■ドロル(─メイジ)
はじめて見た時はトロルなのかなとも考えたが、単にドローンとした外見から?

■リカント(キラー─・─マムル(Wolflord))
ライカンスロープ(lycanthrope)の別読み語。 字数制限のために強引にちぢめたものだとずっと思っていたが リカントととも発音するようだ。 マムルは未詳。

マムルはmurmur(つぶやき・つぶやく)では、とのご意見をいただいた。 手元の辞書ではマーマーの発音しかのっていないが ソロモンの七十二柱に同じスペルでムルムル(Murmur)と読む悪魔がいるので、 マームルと読む場合があるのかもしれない。 しかしながら呪文をとなえるという特徴をあらわすのに用いる語であるのかどうか。 メイジドラキー・ドロルメイジ・メイジキメラの例があるように、三文字ならばメイジですむと思うのだ

■メーダ(─ロード)
「メ」は暗闇で発達(逆に退化しそうだが)した巨大な目玉から?。 未詳。8には海棲のシーメーダが出てくる。こちらも目がでかいから、やっぱりメーダのメは「目」ではないかと。

少量の光がとどく場所では、わづかな光を増幅させるために目が巨大化するのだそうだ。 テレビの深海魚特集でやってた


ドラゴンクエストU悪霊の神々
■アークデーモン・ベリアル
「首座の・頭目の・第一の」(arch)デーモン。ウィザードリィ2('82)に同名のモンスターあり。 筆頭魔神といったところか。これ以降定番の肩書となる。

メールで、arch angelが大天使だからarch daemonで大悪魔との見解をいただいた

ベリアルは堕天使(Beliel/Belial)。 たくみな弁舌と論理で人を堕落にみちびく相当卑劣でタチのわるい悪魔らしい。 そのかわり容姿はこの上なく端麗、なのだそうだがドラクエ上では黄色いイボ牛といったところ。

■ウドラー
ウドの大木の「ウド」ラーという事なのだろう。ただし、ウドは木ではなく多年草なのだそうな

■オーク(ゴールド─・─キング)
豚の頭に人の体を持つモンスター(orc)

■ガーゴイル
羽の生えた悪魔(gargoyle)

■ガスト
「一陣の風・突風・にわか雨・どっと燃え立つ火・にわかの物音・感情の激発(gust)」。 突如まいこんできた悪風・毒気といった感じだろうか

■グール
墓をあらし、しかばねを食うアンデッドモンスター(ghoul)

■グレムリン・ベビル
飛行機の調子がわるいとパイロットがこのグレムリン(Gremlin)のせいにしたのが発祥だとか。 DQでは映画のグレムリン('84)のようなイタヅラ好きの小鬼といった感じ

水木しげるの「妖怪入門世界編」(小学館1985年版)にはアルプス山中の妖怪とされ、 第二次世界大戦中ドイツの上空にはじめてあらわれた事になっている

ベビルはそのおさない姿から察するにベビー+デビルではないかと

■サーベルウルフ
絶滅したサーベルタイガーなら聞いた事があるが、サーベルウルフというのは知らない。 グラフィックを見て、これをウルフと言うには相当くるしいと思う

下のページにサーベルタイガーのイメイジCGがのっている。 その下にはドラクエ4でおなじみのドードー鳥のモデルものっている

地球ドラマチック「地球から消えた動物 2」

■サイクロプス・ギガンテス・アトラス
三種ともギリシア神話に出てくる巨人あるいは巨神。

サイクロプスはひとつ目の巨神種。キュクロプス(Cyclops)。 天空の神ウラノスにうとまれ地中深くに幽閉された。

モンスターとしてのモデルは叙事詩オデュッセイアでえがかれたバケモノの姿だろう。 怪力で人間を軽々とふりまわし、岩山をちぎって投げつけたりもする。 そしてころした相手はむさぼり食うという野蛮で残忍な性格。

ギガンテスも巨人族だがひとつ目というわけではない(Gigantes)。 山抜く巨体をきらめく鎧や野獣の毛皮で包み、怪力にまかせて岩石を放り巨木をふりまわす。 大地の神ガイアにさしむけられゼウスらとたたかった。 神々が人間の力をかりねばならぬほど非常に強力な種族。

当時、ファミマガで中村光一か堀井雄二がドラクエの質問コーナーを連載していて、 モンスターの大きさについての問に、 スライムが一番ちいさくてギガンテスが一番おおきいとこたえていた。

このコーナーでは、ほかにもたとえば 「マホトーンで「仲間を呼ぶ」も封じられるのはなぜ?」 「単に呪文だけでなく口を封じる魔法だから」 といったようなやりとりがなされ、 ゲームの中の出来事を開発者が解説するという、なかなかおもしろい内容だった。 もう手元には残っていないので、できればまた読みかえしてみたいのだが。

最後にアトラス。 上二種と異なり個人名。ティタン神族の系譜の一柱(Atlas)。 オリュンポスの神々にやぶれ、天をささえるというこれ以上ない重荷を背負わされる。 のちアトラス山脈になったとも言われたケタはづれの巨体。 これもひとつ目というわけではない。

ドラクエ2のサブタイトル「悪霊の神々」の「神」はシドーとして、 「々」とはこのアトラスやバズズ・ベリアルの事なのだろうか。 タイトル自体が謎めいている

■タホドラキー
タホは見当もつかない。

■ドラゴンフライ
トンボなのだが、ウィザードリイにも出てくる由緒あるモンスター

■バシリスク
ヘビの王と言われるモンスター(Basiliskバ「ジ」リスク)。 トカゲの体に八本足が生えており、頭には王の印であるトサカがあるという。 強力な毒をもち見た物を石にかえる。

「バシリスク」と、シが濁らなず発音する事もあるようだ。ドラクエ固有のなまりではない

■バズズ
メソポタミアにつたわる熱風の神・悪魔(Pazuzu)。 「ライオンの頭と腕、鷲の脚、背中に四枚の鳥の翼とサソリの尾、 更には蛇の男根を隠し持つ。風とともに熱病をもたらすことからアッカド人に恐れられていた」 (wikipediaより)。 ドラクエでは猿のすがたの悪魔

当時、何が元なのかサッパリわからなかったが、 しばらく後、女神転生の攻略本を読んでその存在を知った。 なぜこんな日本であまり知られていない悪魔をえらんだのだろう。 ただしくはパズズだが、ドラクエでは「バ」ズズ、女神転生ではパズ「ス」とされている

って、映画「エクソシスト」の悪霊がパズスだったのね。一転して超有名悪魔と訂正いたします。

■バピラス(メイジ─)
この名の鳥をついぞ聞いた事がない。 普通思いつくのは古代エジプトのパピルスだが、 それとモンスターに関係があるとは思えぬし、まったくの謎

と書いていたところ、メールで「パ」ピラスでなくて「バ」ピラスとご指摘いただいた。 当時からずうっと「パ」だと思いこんでいたのを だいぶ年がたってから「バ」と濁ると知ったのだが、 その事をすっかりわすれていた。汗顔のいたりです

海外版DRAGON WORRIORのつづりは「vampirus」。 単語自体は英和辞典にのっていないので何と訳せばよいのかはわからない。 が、スペルからしてvampireにまつわる語句だろう事はうたがいない。 本来バンピラスだったものを「ン」をけずって語調をととのえた、そういう事だろうか。 とにもかくにも手がかりだけはつかめたようである(※)

(※)「海外版モンスター名はあてずっぽう」を参照

■バブーン・ヒババンゴ
主にアフリカに生息するヒヒ(baboon)。

当時、エイズはミドリザルから人に感染してひろまったと言われていたため、 たいした敵でもないのに筆者はこれをおそれていた

ヒババンゴは70年代に中国山地の比婆山連峰で目撃された 類人猿型UMA「ヒバゴン」のもじりと思う。

最近、マンドリルやバブーンと同じく、 そのままヒババンゴというサルがいるのではないかという気がしてきている。 ヒババンゴ=ヒバゴンとするのは牽強附会なんじゃないかと思えてきている

■バブルスライム
ウィザードリイのBUBBLY SLIMEからひっぱってきたものかと

■メドーサボール・ゴーゴンヘッド
ギリシア神話に出てくる女モンスター(Gorgon・Medusa)。 ゴーゴンはその顔を見た者を、メドゥーサはその目で見た者を石にかえる。 どちらもヘビを髪の毛かわりに生やしており、それゆえの命名。

本当はメドゥーサボールとしたかったのだろうが、 字数制限はいかんともしがたく「ゥ」をはぶかねばならなかった。 ファミスタの「あどち」とよく似た境遇

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